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床矯正とは

床矯正とは、お子様の歯が乳歯から永久歯に生え変わる時期に行う小児矯正の一種です。主な目的は、将来的に永久歯がきれいに並ぶための土台作りをすることです。具体的には、歯を支える歯槽骨の位置を移動させ、永久歯が正しく並ぶための十分なスペースを確保します。これにより、永久歯が生え揃った時に抜歯を伴う矯正治療を極力回避できる可能性が高まります。
床矯正装置の特徴
- プラスチック製のレジン床部分と歯にかける金属部分から構成
- 入れ歯のように取り外しが可能
- 装置に付いているバネやネジ(スクリュー)を調整して歯列を広げる
- 状態によってはマルチブラケットとの併用も可能
床矯正がこのような症状に適応
- 乱杭歯(歯がガタガタに並んでいる状態)
- 受け口(下顎が上顎よりも前に出ている状態)
- 上顎前突(上顎が下顎よりも大きく前に出ている状態)
- 過蓋咬合(上顎が下顎に大きく被さっている状態)
費用と治療期間
費用
床矯正の費用は一般的に30万〜40万円程度かかります。矯正治療は自由診療のため、歯科医院によって料金体系が異なります。
治療期間
床矯正の治療期間は一般的に半年から2年程度です。お子様の歯の状態や矯正装置の装着時間によって個人差があります。適切な治療計画については、矯正歯科医との相談をおすすめします。
床矯正を始める適切な時期
犬歯が生える前の9〜10歳までには開始するのが理想的
犬歯が生えた後では、歯並びに隙間がなくなり、治療期間が長くなりやすく、費用も増加する傾向があります。ただし、歯の状態や顎の成長具合によって、最適な開始時期は変わることをご理解ください。
反対咬合など顎の前後のズレがある場合
前歯が4本生え揃う3歳頃から
乱杭歯(歯がガタガタしている状態)
永久歯に生え変わる6〜8歳頃から
床矯正のメリット
将来的な抜歯リスクの低減
床矯正は歯列の幅を広げることで、永久歯が並ぶためのスペースを確保します。そのため、永久歯期の矯正治療で抜歯が必要となるリスクを低減できる可能性があります。抜歯を避けることで、以下のようなデメリットを回避できます。
- 抜歯にかかる費用(一般的に5千〜1万円程度)
- 抜歯後の痛みや腫れ、違和感
- 抜歯でできた隙間を埋めるための治療期間の延長
装置の取り外しが可能
床矯正装置は自分で取り外しができるため、次のようなメリットがあります。
- 食事や歯磨きを通常通り行える
- 装置周りの汚れがたまりにくく、虫歯のリスクを低減できる
- 必要に応じて一時的に外すことが可能(ただし1日14時間以上の装着が必要)
痛みが比較的少ない
床矯正は歯に強い力があまりかからないため、ワイヤー矯正と比較して痛みを感じにくい傾向があります。床矯正装置は締め付けがなく、土台はシリコン製であるため、お子様の負担が少ないという利点があります。
床矯正のデメリット
歯並びの細かい調整や大きな移動が難しい
床矯正は主に歯槽骨を一方向に移動させる治療法のため、ワイヤー矯正のように歯の位置を細かく調整したり、大きく移動したりすることには限界があります。重度の不正咬合の場合は、床矯正だけでなく他の矯正方法との併用が必要となることがあります。
発音への影響
床矯正装置の装着により、舌の動きが制限されるため、特に装置装着初期には発音が不明瞭になることがあります。お子様によっては、滑舌の悪さからコミュニケーションに支障をきたすことがあるかもしれません。
装着時間の管理が必要
床矯正装置は1日14時間以上の装着が必要です。装着時間が不足すると、計画通りに治療が進まず、期間が延長したり、期待した効果が得られなかったりする可能性があります。お子様自身や保護者による適切な管理が重要です。
すべての症例に対応できるわけではない
重度の乱杭歯や出っ歯、受け口などの場合、床矯正だけでは十分な効果が得られないことがあります。また、歯のバランスや噛み合わせに配慮せずに矯正を行うと、歯が前に押し出されてしまうなどの問題が生じる可能性があります。
床矯正は、お子様の将来の歯並びを考慮した予防的な矯正治療

適切な時期に開始することで、永久歯列期の矯正治療の負担を軽減できる可能性があります。特に、装置の取り外しが可能で痛みが少ないという点は、お子様にとって大きなメリットとなるでしょう。一方で、細かい歯の調整には限界があることや、装着時間の管理が必要といったデメリットもあります。お子様の歯並びの状態に合わせた適切な治療法を選択するためにも、矯正歯科医との十分な相談をおすすめします。
加藤デンタルクリニックでは、保育士も在籍しており、お子様が安心して矯正治療に取り組める環境を整えています。床矯正に関するご質問やご不安は、どうぞお気軽にご相談ください。